
院長:川瀬お気軽にご相談ください!
アイユート鍼灸院の川瀬です。更年期に入ってから急に膝が痛くなった、朝起きたときに膝がこわばるようになったという経験はありませんか?実はこうした膝の痛みと女性ホルモンには深い関係があるのです。
当院にも閉経前後の女性の方から「整形外科では変形性膝関節症と言われたけれど、友人から女性ホルモンが関係していると聞いた」「ホットフラッシュと同じ時期に膝も痛くなってきた」といった相談が増えています。今日は女性ホルモンと膝痛の関係について詳しくお話ししていきますね。


女性ホルモンの減少が膝痛を引き起こすメカニズムを知ることが改善への第一歩です


変形性膝関節症の患者数を見てみると、女性は男性の約4倍にも達するという統計があります。これほどまでに男女差が大きい理由は、女性ホルモン、特にエストロゲンの働きと深く関係しているのです。エストロゲンには骨や軟骨、靭帯を保護する重要な役割があり、閉経によってこのホルモンが急激に減少することで膝関節への負担が一気に増してしまいます。
エストロゲンは骨の新陳代謝を促進し、骨密度を維持する働きがあります。同時に関節軟骨の弾力性を保ち、炎症を抑える作用も持っています。閉経を迎えるとエストロゲンの分泌が激減するため、軟骨がすり減りやすくなり、骨も弱くなって膝関節に大きな負担がかかるようになります。これが更年期前後の女性に膝痛が急増する最大の理由なのです。
さらに女性は男性に比べて筋肉量が少なく、膝関節を支える力が弱い傾向にあります。加えて骨盤が広く、大腿骨と脛骨の角度が外側に開きやすい骨格的特徴も持っているため、膝の内側に負担が集中しやすいのです。こうした構造的な要因に女性ホルモンの減少が重なることで、膝痛のリスクが飛躍的に高まります。
エストロゲンは単に生殖機能に関わるだけのホルモンではありません。全身の健康維持に欠かせない働きを担っており、特に骨と関節への影響は非常に大きいものがあります。若い頃は十分に分泌されているエストロゲンが、閉経を境に急激に減少することで、体のさまざまな部分に変化が現れてきます。
関節軟骨はコラーゲンとプロテオグリカンという成分でできており、クッションのように骨同士の衝撃を吸収する役割を果たしています。エストロゲンはこの軟骨の成分を維持し、軟骨細胞の代謝を活発にする働きがあります。ところが閉経後にエストロゲンが減少すると、軟骨の水分保持能力が低下し、弾力性が失われて硬くもろくなっていきます。
軟骨がすり減ると骨同士が直接こすれ合うようになり、炎症や痛みが生じます。さらにすり減った軟骨の破片が関節内に散らばることで、関節液の粘度が変化し、滑らかな動きが妨げられるようになります。これが動き始めの痛みやこわばりとして感じられるのです。
エストロゲンは骨を壊す破骨細胞の働きを抑え、骨を作る骨芽細胞の働きを活性化させることで骨密度を維持しています。閉経後はエストロゲンの保護作用が失われるため、骨密度が急速に低下して骨粗鬆症のリスクが高まります。骨がもろくなると膝関節を支える力が弱まり、わずかな衝撃でも痛みを感じやすくなります。
特に膝の下にある脛骨の骨密度が低下すると、体重を支える力が不足して膝への負担が増大します。骨粗鬆症が進行すると圧迫骨折や大腿骨頸部骨折のリスクも高まるため、閉経後の骨密度管理は膝痛予防の観点からも極めて重要です。
エストロゲンは靭帯のコラーゲン合成にも関与しており、靭帯の柔軟性と強度を保つ役割があります。閉経後は靭帯が硬くなり、関節の可動域が制限されやすくなります。また筋肉量の減少も加速するため、膝関節を安定させる筋力が低下して負担が増えてしまうのです。
更年期前後に現れる膝痛には、いくつかの典型的な特徴があります。まず多いのが朝起きたときや長時間座った後に立ち上がるときの膝のこわばりや痛みです。これは関節液の循環が悪くなっているために起こります。動いているうちに徐々に痛みが和らいでくるのが特徴的です。
階段の上り下り、特に下りるときに膝の内側や膝蓋骨周辺に痛みを感じるケースも非常に多く見られます。体重がかかる動作や膝を深く曲げる動作で痛みが強くなるのは、軟骨がすり減って骨同士の接触が増えているサインです。正座やしゃがむ動作ができなくなってきたという訴えもよく聞かれます。
また、天候や気温の変化で痛みが増減することも更年期の膝痛の特徴です。雨の日や寒い日に痛みが強くなるのは、気圧の変化や血行不良が関節内の炎症を悪化させるためです。夜間に痛みで目が覚めてしまうという方もいらっしゃいます。
女性ホルモンの減少が膝痛の原因なら、ホルモン補充療法で改善できるのではないかと考える方も多いでしょう。実際、ホルモン補充療法は更年期障害の治療として婦人科で行われており、一定の効果が認められています。エストロゲンを補充することで骨密度の低下を抑え、軟骨の代謝を改善する効果が期待できます。
しかしホルモン補充療法にはメリットだけでなくリスクも存在します。乳がんや子宮がん、血栓症のリスクが若干上昇する可能性があり、治療を受けられる期間や年齢にも制限があります。また、すでにすり減ってしまった軟骨を元に戻すことはできないため、あくまで進行を遅らせる目的での使用となります。
ホルモン補充療法を検討する場合は、婦人科で十分な検査とカウンセリングを受け、自分の体質や既往歴を踏まえて判断することが大切です。また、イソフラボンやエクオールといった植物性エストロゲンのサプリメントも選択肢の一つですが、効果には個人差があることを理解しておく必要があります。
女性ホルモンの減少は避けられない自然な変化ですが、だからといって膝痛を諦める必要はありません。ホルモンの影響を受けにくい体づくりを進めていくことで、膝痛は十分に改善できるのです。当院でも多くの更年期女性の膝痛改善をサポートしてきました。
更年期には基礎代謝が低下し、同じ食生活でも体重が増加しやすくなります。体重が1キロ増えるごとに膝への負担は3から4キロ増えるとされており、わずかな体重増加でも膝痛を悪化させる要因になります。食事内容の見直しと適度な運動で適正体重を維持することが、膝痛改善の最も基本的で重要な対策です。
太ももの前側にある大腿四頭筋を鍛えることで、膝関節の安定性が高まり、痛みの軽減につながります。ただし過度な運動や間違ったフォームでのトレーニングは逆効果になるため、専門家の指導のもとで適切な運動を行うことが大切です。ウォーキングや水中運動など、膝に負担の少ない運動を継続的に行うことをおすすめします。
骨と軟骨の健康維持には、カルシウム、ビタミンD、タンパク質、コラーゲンといった栄養素が欠かせません。特にビタミンDはカルシウムの吸収を助け、筋力維持にも関わる重要な栄養素です。大豆製品に含まれるイソフラボンは植物性エストロゲンとして働き、更年期症状の緩和に役立つとされています。


当院では更年期の膝痛に対して、女性ホルモンの影響を考慮した総合的なアプローチを行っています。まず最新の姿勢分析システムと整形外科的検査で、膝痛の根本原因を徹底的に探ります。女性ホルモンの減少による影響だけでなく、骨盤の歪み、股関節の硬さ、姿勢の崩れ、筋力バランスの乱れなど、複合的な要因を見つけ出していきます。
検査結果に基づいて、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの施術を行います。痛みのある膝だけでなく、体全体のバランスを整えることで自然治癒力を最大限に引き出し、根本的な改善を目指していきます。
西洋医学で改善しきれなかった痛みに対しても、東洋医学の視点から体質や経絡の流れを整えることで、多くの方が改善を実感されています。更年期の膝痛は女性ホルモンの減少という避けられない要因がありますが、体のバランスを整え、適切なケアを行うことで、痛みのない快適な日常を取り戻すことは十分に可能なのです。
膝の痛みが改善すると、階段の上り下りが楽になり、孫と一緒に遊んだり、旅行や趣味を心から楽しめるようになります。更年期だから仕方ないと諦める必要はありません。一人で悩まず、今の膝の状態がどうなっているのか、何が原因で痛みが出ているのかを知ることから始めてみませんか。いつでもお気軽にご相談ください。あなたの膝痛改善を全力でサポートいたします。

