
院長:川瀬お気軽にご相談ください!
皆さま、こんにちは。アイユート鍼灸院・名寄本院です。
今回はめまいについて「PPPDとBPPVの違いと見分け方」という題でお話します。


めまいは多くの人が経験する症状ですが、その原因や性質は様々です。特にBPPV(良性発作性頭位めまい症)とPPPD(持続性知覚性姿勢誘発めまい)は、どちらもよく見られるめまい疾患でありながら、症状の現れ方や治療法が大きく異なります
BPPVはめまいの原因として最も多い疾患で、女性に多く、他のめまいに比べ高齢者に多いという特徴があります。一方、PPPDは近年注目されている慢性めまいの多くを占める疾患で、2017年に国際的な診断基準が策定されました。
BPPVは内耳の小さな石(耳石)が半規管に入り込んで浮遊することによって起こるめまいです6。頭位変換により方向交代性の眼振と回転性めまいを生じる疾患で、後半規管型と外側半規管型に分けられます。
PPPDは、急なめまいを発症した後、急性期症状は改善したにもかかわらず、雲の上を歩いているような浮遊感や不安定感が3ヶ月以上にわたってほぼ毎日みられる疾患です。人の姿勢、動作、および複雑または動く視覚刺激によって悪化する、慢性的なめまいと不安定さを特徴とします
| 項目 | BPPV | PPPD |
| めまいの性質 | 回転性(ぐるぐる) | 非回転性(浮遊感・不安定感) |
| 持続時間 | 数秒~1分以内 | 3ヶ月以上の慢性症状 |
| 誘発要因 | 特定の頭位変換 | 立位・歩行、視覚刺激、体動 |
| 症状の頻度 | 発作性(特定の動作時のみ) | ほぼ毎日持続 |
| 日内変動 | 特になし | 朝は良好、夕方に悪化 |
BPPVは卵形囊から遊離した耳石が半規管内に迷入して起こると考えられており、物理的な問題です。内耳の構造的な異常により、頭位変換時に異常な刺激が発生します。
PPPDは何らかの急性めまいエピソードが先行し、脳が目や体からの微細な刺激に対して過剰に適応することにより起こると考えられています。PPPDの70%では前庭疾患など何らかの器質疾患が先行し、心理要因により悪化し機能性疾患へ移行します。
頭位・頭位変換眼振検査にて、出現する眼振の性状とめまいの有無を検査します。病巣半規管により後半規管型、外側半規管型、前半規管型に分類されます。
耳石を卵形囊に戻すEpley法やLempert法などの頭位治療が奏功することが多く、多くは数週間以内に改善します26。物理的な治療により根本的な改善が期待できます。
重要な点として、BPPVが原因となってPPPDが発症することがあります。症例では、当初は頭位性めまいを訴えBPPVと診断され、Epley法で眼振は消失して頭位性めまいは改善したものの、ふらつきが残り、最終的にPPPDと診断されるケースが報告されています。
このような場合、前庭リハビリテーションでは効果が得られず、SSRI内服にて症状が著明に改善することが特徴的です。
「ぐるぐるめまい」だけの症状であれば、PPPDではないことが多いです7。PPPDは「浮いている感じ」「不安定な感じ」が主な症状となります。
以下のポイントで区別できます
どちらの症状も適切な診断と治療により改善が期待できるため、症状が続く場合は専門医への相談をお勧めします。特にBPPVからPPPDへ移行する可能性もあるため、症状の変化に注意を払うことが重要です。