
院長:川瀬お気軽にご相談ください!
名寄市のアイユート鍼灸院、川瀬です。整形外科で「軟骨がすり減っていますね」と言われて不安になった経験はありませんか?レントゲンを見ながら「この白い部分が軟骨で、ここが薄くなっています」と説明され、軟骨が原因の膝の痛みだと知って、どうしたらいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
当院にも「軟骨は一度すり減ったら元に戻らないと言われた」「このまま手術しかないのか」「軟骨を再生する方法はないのか」といった相談が日々寄せられています。軟骨のすり減りによる膝痛は、多くの方が直面する悩みです。今日は軟骨と膝痛の関係について、わかりやすくお話ししていきますね。


軟骨のすり減りは避けられなくても、膝痛の改善は十分に可能です


膝関節は大腿骨と脛骨という2本の骨が組み合わさってできています。この骨と骨が直接ぶつかり合わないように、表面を覆っているのが関節軟骨です。軟骨は弾力性のあるクッションのような組織で、歩いたり走ったりするときの衝撃を吸収し、骨同士がスムーズに動けるようにする重要な役割を担っています。
健康な軟骨は水分をたっぷり含んでおり、表面はつるつると滑らかです。コラーゲンとプロテオグリカンという成分で構成されていて、まるでスポンジのように水分を保持しながら弾力を保っています。ところが年齢を重ねたり、膝に過度な負担がかかり続けたりすると、この軟骨の水分量が減り、弾力性が失われてすり減っていくのです。
軟骨には血管も神経も通っていません。そのため栄養は関節液からゆっくりと染み込むように供給されます。この特性が、軟骨の再生を難しくしている最大の理由です。血管がないということは、傷ついた部分に栄養や酸素が届きにくく、修復のスピードが極めて遅いということを意味します。
実は軟骨そのものには神経がないため、軟骨がすり減っても軟骨自体が痛みを感じることはありません。では、なぜ軟骨のすり減りが膝痛を引き起こすのでしょうか。これにはいくつかの理由があります。
まず、軟骨がすり減ると骨同士が直接接触するようになり、骨の表面に過度な圧力がかかります。骨には神経が通っているため、この圧力が痛みとして感じられるのです。さらに軟骨がすり減って剥がれた破片が関節内に散らばると、関節を包んでいる滑膜という組織を刺激して炎症を引き起こします。
この炎症が起こると関節液が過剰に分泌され、いわゆる「膝に水が溜まる」状態になります。炎症性の物質が神経を刺激することで、ズキズキとした痛みや腫れ、熱感が生じるのです。また、軟骨のクッション機能が失われることで、歩くたびに骨への衝撃が大きくなり、動作時の痛みが強くなっていきます。
軟骨がすり減る原因は一つではありません。最も大きな要因は加齢です。年齢を重ねると軟骨の水分量が減り、細胞の新陳代謝も衰えて、軟骨が薄く硬くなっていきます。40代後半から徐々に変化が始まり、50代、60代と年齢が上がるにつれてすり減りが加速していきます。
肥満も軟骨のすり減りを大きく加速させます。体重が増えると膝にかかる負担は何倍にも増大し、歩くたびに軟骨が押しつぶされるような力がかかります。体重が1キロ増えるごとに、歩行時には膝に3から4キロの負担が増えると言われています。階段の上り下りではさらに負荷が大きくなります。
スポーツや仕事での膝の使いすぎも軟骨損傷の原因になります。ジャンプやターン、急な方向転換を繰り返すスポーツ、重い荷物を持って階段を上り下りする仕事などは、軟骨に過度なストレスをかけ続けます。また、若い頃の膝のケガ(靭帯損傷や半月板損傷)が、年齢を重ねてから軟骨のすり減りにつながるケースも非常に多く見られます。
整形外科で「軟骨は一度すり減ったら元に戻りません」と言われて、絶望的な気持ちになった方も多いでしょう。確かに軟骨は血管がないため自然に再生する能力は極めて低く、完全に元の状態に戻すことは現代医学でも難しいのが現実です。
しかし、近年の医療技術の進歩により、軟骨を再生させる試みが行われるようになってきました。幹細胞を使った再生医療、自分の細胞を培養して移植する細胞シート治療、成長因子を注入するPRP療法など、いくつかの選択肢が登場しています。これらの治療は保険適用外で費用が高額になることが多く、効果にも個人差がありますが、一部の症例では軟骨の再生や症状の改善が報告されています。
ただし、再生医療が適応できるのは比較的軽度から中等度の軟骨損傷の場合が多く、軟骨が完全になくなって骨が変形してしまっている重度のケースでは効果が限定的です。また、再生医療を受けても日常生活での膝への負担が変わらなければ、再び軟骨がすり減っていく可能性があります。
ここで大切なことをお伝えしたいのですが、軟骨のすり減り具合と痛みの強さは必ずしも比例しません。レントゲンで軟骨が相当すり減っているように見えても、日常生活に支障がないほど痛みが軽い方もいらっしゃいます。逆に、軟骨のすり減りは軽度なのに、強い痛みに悩まされている方もいます。
これは何を意味するかというと、膝の痛みは軟骨のすり減りだけが原因ではないということです。膝周囲の筋肉の硬さや弱さ、関節の動きの悪さ、骨盤や股関節の歪み、姿勢の崩れ、体重のかけ方の偏りなど、さまざまな要因が複雑に絡み合って痛みを引き起こしているのです。
当院ではこれまで多くの軟骨のすり減りによる膝痛の方を診てきましたが、軟骨そのものを再生させなくても、体全体のバランスを整え、膝への負担を減らすことで痛みが劇的に改善したケースをたくさん経験しています。軟骨のすり減りがあるからといって、痛みと一生付き合わなければいけないわけではないのです。
整形外科では軟骨のすり減りによる膝痛に対して、痛み止めやヒアルロン酸注射、リハビリ、装具療法などの保存療法を行います。これらの治療は痛みを和らげる効果はありますが、対症療法であり、根本的な原因の解決にはなりません。症状が進行すれば最終的には人工関節置換術などの手術を勧められることになります。
当院では軟骨のすり減りそのものではなく、なぜその膝に過度な負担がかかり続けているのかという根本原因を徹底的に探ります。最新の姿勢分析システムと整形外科的検査で、膝痛を引き起こしている体全体のアンバランスを可視化します。骨盤の歪み、股関節の硬さ、足首の可動域制限、姿勢の崩れ、筋力のアンバランスなど、一人ひとり異なる原因を特定していきます。
検査結果に基づいて、整動鍼や活法整体を応用した施術、頭に鍼を施すYNSAなどを組み合わせたオーダーメイドの施術を行います。体が動けるようになるための鍼であることが当院の特徴で、筋肉や靭帯の緊張を緩め、関節の動きを改善し、血流を促進することで自然治癒力を最大限に引き出していきます。
軟骨の再生は難しくても、これ以上すり減らせないように守ることは可能です。まず最も重要なのは体重管理です。減量は膝への負担を直接的に減らす最も効果的な対策であり、わずか数キロの減量でも膝痛の改善につながります。
次に、膝周囲の筋力を維持強化することです。特に太ももの前側にある大腿四頭筋を鍛えることで、膝関節を安定させ、軟骨への負担を軽減できます。ただし間違った運動は逆効果になるため、専門家の指導のもとで適切な運動を行うことが大切です。ウォーキングや水中運動など、膝に負担の少ない運動を継続的に行いましょう。
日常生活では、膝を深く曲げる動作(正座、しゃがむ、和式トイレなど)を避け、階段よりもエレベーターを使う、重い荷物は持たないなど、膝への負担を減らす工夫も重要です。サプリメントについては、グルコサミンやコンドロイチンの効果は限定的ですが、試してみる価値はあるでしょう。


軟骨がすり減っているからといって、必ずしも手術が必要になるわけではありません。当院には整形外科で手術を勧められたものの、手術を避けたいという思いで来院される方が多くいらっしゃいます。そして実際に、施術を続けることで痛みが改善し、手術を回避できている方がたくさんいます。
膝の痛みが改善すると、階段の上り下りが楽になり、長時間歩けるようになり、旅行や趣味を心から楽しめるようになります。孫と一緒に公園で遊んだり、ガーデニングを再開したり、スポーツに復帰したりと、諦めていた活動ができるようになった方々の笑顔を見るたびに、この仕事のやりがいを感じます。
軟骨のすり減りがあるからと諦める必要はありません。軟骨を再生させることは難しくても、痛みを改善して快適な日常を取り戻すことは十分に可能です。一人で悩まず、今の膝の状態がどうなっているのか、何が原因で痛みが出ているのか、どうすれば改善できるのかを知ることから始めてみませんか。いつでもお気軽にご相談ください。あなたの膝痛改善を全力でサポートいたします。

